竹工芸・竹細工の道具と解説 最初におすすめの道具

竹工芸、竹細工をはじめるのに必要な道具を紹介します。

最初に揃えたい道具を紹介して、次の章で詳しく解説していきます。

竹細工を始めるためのおすすめの道具

竹工芸・竹細工で最初に揃えたい道具

竹細工を行うときに、はじめに揃えたい道具一覧です。

名称重要度用途
竹割り包丁S竹を割ったり、厚さを揃えたりする道具
最初は刃渡り160mm程のが軽くておすすめです
ノコギリS竹を必要な長さに切る道具
最初は木工用で大丈夫です
テープメジャーS竹ひごの長さや、制作物の大きさを測る道具。
メジャーは柔らかいテープメジャーがお勧めです。
剪定バサミS籠作りではみ出た竹ひごを切る道具です
植木用の剪定バサミです
切り出しナイフA面取りをしたり、竹ひごの形を整える道具
ノギスA竹ひごの幅を測る道具
デジタル式がわかりやすいです

竹割り包丁・ノコギリ・テープメジャー、剪定バサミの4つの道具さえあれば、

  1. 竹を切る
  2. 竹ひごを作る
  3. かごを編む
  4. 余った部分をきれいに切る

という感じで、簡単な竹かごを作れます。

もちろん、ノギス切り出しナイフがあれば整った竹ひごを作れますので、最初に揃えることをおすすめします。有ると無いでは、作る竹ひごや竹カゴの綺麗さが全然違います。

これらの道具は、竹細工でずっと使い続ける道具です。

次の章より、竹工芸・竹細工で使う道具を一つ一つ解説していきます。

竹工芸・竹細工で使う主な道具と解説

竹工芸竹細工で使う道具一覧の写真

竹工芸・竹細工で使われている道具の解説です。いくつかの写真は熊本県湯前町の上米良鍛冶工場さんにご協力頂きました。

ほとんどの道具はホームセンターで揃えることができます。

竹割り包丁

竹割り包丁、刃渡り190mmと160mmの写真

竹工芸で一番使用するのが、竹割り包丁です。

サイズは
上は刃渡り190mm
下は刃渡り125mm
です。

刃渡り160mm+胴金くらいのものが、長さと軽さのバランスが丁度よくおすすめです。長く使うことができます。

長いと少し太めの竹を割るところから全てのヒゴ作りで使えますが少し重いです。

短い方は丸竹を半割するのに別の刃物が必要になりますが、小さく軽いので扱いやすく、疲れが少なくて好きです。

竹割り包丁の胴金を使って竹を剥いでいる写真

別府などでよく使われる竹割り包丁は、刃と柄の間に胴金(どうかね・どうがね)というものが付いていて、竹を剥ぐ(厚みを揃える)ときに、胴金で竹の表皮と身(内側の部分)を平行に割いていきます。

竹割り包丁の刃で切り込んで、胴金で開いていくという感覚です。

全国で竹工芸・竹細工は行われていますので、竹割り包丁には様々な形があって、胴金が無いものもあります。

慣れれば何でも良いのですが、胴金付きの竹割り包丁は厚みで割いていくことができるので、さほど力はいらず、作業を楽に進めることができます。

ノコギリ 長さを揃える道具

竹細工に使うノコギリ、木工用と竹細工用

のこぎりは

  • 荒い目 大体の長さを揃える
  • 竹細工用 仕上げで綺麗にしたいとき

などの用途別に使います。

精度があまり必要ないときは粗い目を使い、切りやすさや早さを求めます。仕上げでは精度が必要ですので、刃が薄く目が細かい細工用のノコギリを使います。

現在、私が竹ひごを作るときは、電動ノコギリ(レシプロソー)を使って最初に大体の長さで切っています。大量に竹ひごを作るときに便利です。

幅取り・幅決め 幅を揃える

竹細工の道具、幅取り、幅決め

(右側の写真は、上米良鍛冶工場さんより頂きました)

竹ひごの幅を揃える道具です。竹ひごの幅を揃えることを幅取り幅決めと言います。

左側は、右手用・左手用の小さなナイフ2本を木に立ててるタイプで、右側は鉋の刃(のようなもの)を2枚使うタイプです。竹ひごを刃物の間に通して幅を揃えるという仕組みは同じです。

ナイフの立て方は、しのぎ面が内側・外側のそれぞれがあり、地方や作家によって違います。最初に教わった、慣れた方向で立てられているようです。(写真左はしのぎ面が内側、右はしのぎ面が外側になっています)

2本のナイフを立てるタイプでは、刃の研ぎ方や木に立てる刃の角度が大切で、慣れないと上手に綺麗な竹ひごを作れません。

また、絶対に横から力をかけたらいけません。木に刺さっている刃先の部分が簡単に折れてしまいます。

こちらは上米良鍛冶工場さんで作られている幅取りの道具です。

刃の角度が固定されていて、幅をダイヤルで微調整します。刃の角度、刃の固定角度が工夫されていますので、どなたでもうまく幅を整えることができます。このタイプは全国で多く作られていて、お持ちの方をよく見かけます。

どちらの道具にも言えるのですが、竹は自然のものでその性質は僅かですが違います。竹によっては片方に刃が食い込み細くなりすぎて失敗します。これを防止するには竹を引くときの角度を少し調整しながらなど、工夫して作業をする必要があります。

裏すき銑(せん)・厚さ決め 厚さを揃える

竹ひごの「身」の方を削って、厚さを揃える道具です。

この作業を「裏すき」「裏決め」といいます。この道具を使うことによって、正確にヒゴの厚さを揃えることができます。

刃物は鉋と同様の片刃のものです。鉋は鉋自体を動かしますが、こちらは竹を手で引いて削っていきます。

【竹工芸】藤の厚さを揃える作業

竹だけではなく、籠の縁(ふち)などで使う籐もこの道具で揃えていきます。籐は柔らかいため、竹とは違った設定が必要です。

馴れが必要な道具ではありますが、あると非常に便利です。

竹工芸・竹細工では、正確な竹ひごを作ることこそが美しい竹籠を作るための必須の作業になります。そのために、幅、厚さを一定に揃えるための道具が発展してきました。

面取り

竹細工の道具 面取り包丁

厚さと幅を揃えた竹ひごは、角が角張っていますので、角を取ります。これを面取りといいます。

面取りはササクレを防止し怪我を防いだり、手触りを良くしたり、角のとり方によって丸みを帯びさせ、他とは違う表情をもたせることができます。

これらは、上米良鍛冶店さんの面取り包丁です。上米良鍛冶店さんのwebサイト

左側は、面取りとひご通しが兼用になっているもの、右側は面取り専用ですが小型なので手軽に使うことができます。

面取り包丁は切ってある溝(VやU型)の大きさが大切で、竹ひごの幅によって溝を使い分けます。網代編み用の竹ひごや、細い籐の面取りをしたいときには、2mmや1.5mmまで面取りができる溝があるものが望ましいです。

望む幅がないときには、店で平ヤスリなど鋼で作られているものを購入し、削って自作する場合もあります。

上米良鍛冶屋さんでは、特別注文が多く入るとのことですので、刃物が欲しい場合には相談されるのもよいかと思います。

私は幅取りナイフをバイスに挟んで面取りをしているのですが、この写真のように木に刺して角度をつけて行うこともできます。幅取りナイフの重さや刃の角度によっては、これが難しい場合もあります。

用を満たせばいいので、どちらでも良いです。

磨き銑(せん)竹の皮を削る

竹の表皮を削る道具です。

竹を染色して漆を塗るとき等、竹の表皮を削ることがあり、別府ではこのことを「竹を磨く」というのですが、そのときに使う道具を磨き銑といいます。

竹の皮を削るには、磨き銑のほか、切り出しナイフを使われたり、曲面が欲しいのであれば草刈り鎌を使われる方もあります。

五世早川尚古斎(重要無形文化財保持者)の映像には、水につけて表皮を十分柔らかくした竹を、切り出しナイフを使って削られているものを見たことがあります。

銑という道具は、木の皮を剥ぐときなどでも同様のものが使われています。

菊割り 竹を一度に沢山割る

竹細工の道具 菊割り

竹を割る道具です。4分割から10分割ほどまで様々な大きさの物があります。

※写真は、上米良鍛冶工場さんより頂きました。

竹割り包丁などで割る手間が省けますので、大量に割竹が必要なときに便利です。

【竹虎】中国広寧、自動回転菊割り機械

この映像のように、菊割りの機械もあります。円盤にいくつも菊割りが付いているのは、竹の直径によって割る本数を変えることにより、竹ひごの幅を一定に揃えるためです。

中国の竹林は広大で大量の竹工芸品が作り出されています。日本に安く入ってきている製品もこのように作られていると考えられます。

くじり 狭い場所を広げる

「溝くじり」は主に竹籠の縁(ふち)を竹で巻くときに使います。

「平くじり」は持ち手をヒゴの間に通すとき、ひごとひごの隙間を開けるときに使います。また、縁巻きのときにも使います。

どちらも、作りたい籠や職人によって大きさが様々にあります。これらの他にも、細い籐を通すときには、とても小さなくじりを職人が自作して使います。

ケガキコンパス 目印をつける

竹を割る前に、ケガキコンパスを使って竹に傷(小さなポイント・刺し傷)をつけて、割る幅の目印を付けていく道具です。

おすすめは、写真上のケガキコンパスです。広げたり狭めたりするのが少々硬いのですが、その硬さが「固定できている」という安心感をもたらしてくれます。

下のコンパスはバネで押さえられるために弾力性があり、少し力を入れると狭まったり歪んだりしてしまいます。軽いタッチでケガければ問題ありません。

どちらを使うにしても、「竹に軽く傷をつける」ことを心がければ、正確な幅で割る目印をつけることができます。強く押し付けすぎると竹の曲面で滑り、手を怪我してしまう可能性もありますのでご注意ください。

実際の使用は、例えば幅4mmの竹ひごを作るときには、ケガキコンパスを4.5~5mmに開いて竹に傷をつけます。傷のとおりに竹割り包丁で割っていくと、4mmの幅取りをするときに丁度よい幅で竹を割ることができます。

ケガキコンパスがないときには、柔らかいテープメジャーを竹に当てて、鉛筆で印をつけていくことで、同様なことが実現できますのでおすすめです。

文鎮

六ツ目編みなどを編む時や、網代の立ち上げの時の重しとして1~1.5kgほどの文鎮を使います。

無くてもいいのですが、重しを使うと手軽にズレを防げるために便利です。

あまり売っていなせんので、鉄工所で作ってもらうなど手に入れるには工夫が必要です。竹工芸講座の生徒さんが習字用の文鎮を沢山重ねて作られたのを貸してもらったのですが、充分に使えてなかなか良かったです。

竹ひご通し 丸い竹ひごを作る道具

竹ひご通し 丸いひごを作る

丸い竹ひごが必要になるときには、ひご通しという道具を使います。

細いひごを作るには、徐々に小さくする必要があるために、このように沢山の穴があります。

静岡の駿河千筋竹細工(伝統的工芸品)でよく使われる道具です。

竹工芸で使う道具一覧表

竹工芸で使う道具概要
竹割り包丁竹を割ったり剥いだりするときに使う専用の包丁です。
使う方、地方によって形が違います
切り出しナイフ竹工芸では様々な場面で使用します。
良く研いだ竹割り包丁で代用できる場面もあります
のこぎり木工用、竹切り用どちらでも可能です。
細かく切りたいときは竹切り用を使用してください
幅を揃える道具幅取りナイフなどの、ひごの幅を揃える道具
厚さを揃える道具裏すき銑などの、ヒゴの厚さを揃える道具
表皮を削る道具磨き銑、切り出しナイフなど表皮を削る道具
くじり平くじり、溝くじりなど、竹で縁を巻くときなどに使います
定規カゴを測ったり、ケガキコンパスの幅を決めるときなどに使います
メジャー
テープメジャー
テープメジャーはカゴの円周を実測するときに使います。
ケガキコンパス竹を割る時の目印をつけるときに使います
テープメジャーと鉛筆でも代用できます
ノギス竹ひごのサイズを測るときに使います。
アナログ・デジタルどちらでも良いです
剪定バサミ編んだあと、余分な竹を切るときなどに使います
霧吹き
水入れ
竹を編むときの滑り止めなどに水を使います
ヒートガン
コテ
籠編みの底編みからヒゴを立ち上げる時に使います
千枚通し籐や竹釘を通す穴を開けます
文鎮六ツ目編みなどのときに有れば便利です。
1~1.5kgほどのものがおすすめです。
手袋ケガ防止。竹を割る時などに使います
マスキングテープ仮止めや目印にするために使います
針金・被覆針金縁を仮止めするときなどに使います、細く柔らかいものが良いです
クリップ・洗濯バサミ縁を仮止めするときなどに使います。
砥石1000番竹割り包丁をはじめ、各種刃物を研ぎます。
1000番、仕上げ3000番など
鉛筆竹に目印を書き込みます
B、2Bなど、濃い鉛筆がおすすめです
筆記用具・メモ帳など記録するために使います
麻ひもなど竹ヒゴなどを纏めるときに使います

この他にも、作る物によって様々な道具を使います。

現在、竹工芸には様々な道具がありますが、昔の青物(竹を採ってきたままの状態で作るもの)を作られる職人の方は、竹割り包丁とノコギリなどのわずかな道具だけで籠を仕上げられていたそうです。

鬼滅の刃で竹かごを補強するシーンがありますが、彼は竹割り包丁とノコギリだけで補強していたのだと思います。それくらいに道具が必要ない工芸のひとつだと感じています。

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