令和2年12月より、根曲がり竹(チシマザサ)を九州の平地で栽培しています。上手く栽培できたら、竹工芸の素材として使います。
2021年3月より1年間、その様子を記録していきたいと考えています。
育てている竹は
根曲がり竹(千島笹・姫竹)
千島笹で、別名が根曲がり竹です。本州中部以北の東北・北海道の寒冷地に育つ竹で、温暖な九州などの地域では恐らく自生していないと思われます。
大名竹(正確には不明)
表皮繊維の密度は低く編組には使いづらい可能性がありますが、節間が50cmほどになる竹です。
この他にも、所有の竹林で、ホウライチクや黒竹を育て増やしていく予定です。また、柿渋の材料として豆柿・山柿の育成も予定しています。
根曲がり竹(チシマザサ)
根曲がり竹は本州中部以北の標高500m以上もしくは1000m以上の場所に育つ竹なのですが、「耐暑性に優れた株」という苗が販売されており、この苗が九州でも売られていましたので購入し、栽培してみることにしました。
令和2年(2020年)12月に4本、翌年3月に4本の苗を購入しました。
以下、観察記録です。
根曲がり竹の成育と観察
2021年3月29日の根曲がり竹です。上の写真の6本+2本、合計8本を育てています。
左側4本は2021年3月に購入し、右側2本+別の鉢の2本は2020年12月に購入して冬越をしました。根曲がり竹は北の方の寒い地域に自生する植物なので冬越はできると考えていたのですが、1本は枯れてしまいました。
2021年3月24日、昨年買った苗に筍が出てきていました。8株のうちで初めての筍になります。
九州(熊本)で根曲がり竹を植える
根曲がり竹は寒い地域の植物で、長く暑い日々が続くと枯れる可能性があると思われます。そこで、耐暑性があるとされる根曲がり竹の苗を入手し植えています。
冬前に入手しましたので、霜が降りる季節は日当たりの良い室内で育て、3月頃より日当たりの良い外で育て始めました。水は1日に1度、たっぷりと与えています。
竹の用土は
- 赤玉土6
- 腐葉土2
- 川砂2
このような感じです。
竹の場合、土壌はあまり問わないと聞きましたが、タケノコ農家さんにお聞きし肥料を土に混ぜています。また、所有の竹林の表土を混ぜて土作りをしています。近い将来に、この竹林に地植えをする予定です。
根曲がり竹と竹工芸・竹細工
竹工芸の素材としての根曲がり竹は、北海道や東北地方が盛んで、食器籠など様々に使われており、近年はコーヒーのドリッパーが有名です。籠の縁の材料とされている作家さんや、その独特の素材感からアート作品を創作される作家の方もいらっしゃいます。
根曲がり竹(ネマガリダケ・チシマザサ)は、日本の北の地区に自生していてタケノコがとても美味しいということでも有名です。人が採ってしまうため、竹工芸が盛んな地域では根曲がり竹の保護地域としてタケノコを収穫せずに育てるという地域もあります。
大名竹の栽培
大名竹の栽培を始めました。こちらは、九州でも栽培されている実績がありますので、まずは鉢植えで栽培を始めています。
この記事で「大名竹」としているのは、これは「この竹は大名竹」と言われたのでそう表記しています。実際にはどのような種類の竹なのか同定ができておらず、学名など分かる方がいらっしゃれば、ご教授いただければ幸いです。
大名竹の成育観察
2021年4月5日、大名竹の筍が生えてきました。
地下茎が短く小さいので、まずは小さいたけのこが生えてきています。成長し栄養を蓄え始めると大きな筍が生えてくるようです。
真竹の場合ですが、竹林全体を切って地下茎だけにしておくと、翌年は細い筍から生えてきて、数年経つと大きな筍が生えてくると聞いたことがあります。
栽培している竹も、今は小さな筍ですが、もともと生えていた場所では真竹のような大きな竹が多く生えていました。この株も数年後にはそのような状況になっている可能性があります。
大名竹の鉢植え
2021年2月に竹細工をされている方のお宅に生えている大名竹を少し分けていただきました。すぐに鉢植えして、1ヶ月経った様子が上記の写真です。
大名竹は真竹のような地下茎があり、地下茎+葉っぱ付きの苗だと根付きが良さそうでしたので
- 1号2号 葉っぱ付き+太い地下茎15cm
- 3号4号 葉っぱ付き+細い根のみ
この2種類を貰ってきて植えています。
1号と2号は同じ地下茎より生えていて、1号は雨の後は元気ですが、2号は枯れかけのような様子です。3号は細い根でしたが緑の葉が残っています。4号は枯れました。
この写真は、うちに来たばかりの時の1号の様子です。葉っぱも根もしっかりした様子が伺えます。
細い根が無く、また、これだけ小さくカットしてしまうと、しばらくは地下茎にある養分と水だけで生きていかなければいけない可能性がありますので、植え替えのために竹を採るときには、地下茎を長く採ったほうが良さそうです。
こちらもしばらく観察し、筍が出てある程度育った時点で山に植え替えたいと考えています。
こちらは、「大名竹」と聞いた竹です。節は切ってありますが、節間が長い様子がわかります。表面は繊維が密ではないのか荒れた感じです。
傷が多いのですが、これは、生育時に他の竹とぶつかったためと思われます。真竹でも同様なことが起こりますので、竹細工に使うときには傘をさして通れるくらいの間隔で育てる必要があります。
大名竹を使った竹細工は残念ながら知らないのですが、この長い節間を活用して笛を作ったという話を聞いたことがあります。
豆柿・山柿の栽培 将来の柿渋用
将来、柿渋を作るために、豆柿・山柿の苗を購入して育てています。苗は1,2年ものということですので、実がなるのは5年位先になりそうです。
さらに、柿渋は漬けて発酵を促してから5年ほど経ったものが良いということですので、柿渋を実際に使えるのは10年後くらいになりそうです。長期スパンで考えないといけません。
竹も柿も、元気に育ち、将来工芸の材料となってくれたり、食用として美味しく食べられるようになると嬉しいです。
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