九州国立博物館で行われている明治150年記念特別展「オークラコレクション」を見てきました。
オークラコレクションとはホテルオークラの大倉家が収集されたコレクションで、日本・アジアの作品の素晴らしいところを集められたものです。
その集め方が豪快で、例えば中国の混乱で流出した美術品を、船に積まれたまま「それ全部買う」と言って、全部買ってしまったような感じです。
明治の頃に廃仏毀釈などで流出しそうになった日本の美術の収集も凄かったようで、古い文化財、美術品が好きな者にとっては本当に神様のような存在です。
オークラコレクション展にも、私のテーマである竹が描かれた作品や、おすすめの可愛い作品がありましたので紹介していきます。
※記事に間違いがあれば是非お教えくださると幸いです。
オークラコレクションの(私の)見どころ
私が行ったのは2018年11月18日の展示替え後でした。その中からおすすめの作品を紹介します。
なお、展示品の写真は全て九州国立博物館より提供して頂いたり、公式SNSに投稿されたものです。転載は不可です。
おもしろく可愛いと感じた作品
面白かったり、可愛かったりする作品です。
『青磁三足香炉(せいじみつあしこうろ)』
青磁三足香炉(せいじみつあしこうろ)です。作られたのは、中国・龍泉窯で年代は南宋〜元時代・13〜14世紀です。
この写真は斜め上から撮影されていますので見えませんが
実は…
青磁の香炉に猫足みたいにくっついている3つの足は、高台が邪魔して床についていないのです。
九博の特別展「オークラコレクション」で展示中の重要美術品「青磁三足香炉」(大倉集古館蔵)。清涼感のある青緑色が美しい龍泉窯青磁です。ぜひごらんください。 オークラ展詳細はこちらhttps://t.co/5vnY2Ku7sN pic.twitter.com/MiIUeL4W1C
— 九州国立博物館 (@kyuhaku_koho) November 11, 2018
ずんぐりとした器に、小さな子供みたいな脚。可愛さを求めていないのに可愛くなってしまった真面目な姿に目が留まりました。
ちなみに、脚が浮いている様子は展覧会の公式サイトでも見ることができます。
こういうのを見ると、自分が作るものにちょっと取り入れたいなと思えてきてしまいます。色々と想像すると面白いです。
『賀茂競馬・宇治茶摘図屏風(かもくらべうま・うじちゃつみびょうぶ)』
(写真なし)
絵図の中で有名ドコロといえば「洛中洛外図」ですが、私のような美術音痴がこのような絵図をどのように見ているかというと、「描かれた人が生活をどのように楽しんでいるか」というところです。
(テレビで放送されている、ぶらぶら美術・博物館の影響です。)
賀茂競馬では、イベントを肴に酔っ払ってしまった人がいたり、宇治茶摘図では子どもたちが楽しそうに茶葉の天日干しを邪魔をしたりしています。右端の畑では話に夢中になっている女性たちもいますね。
こんなふうにみていると、当時の人々の暮らしを垣間見ている気になって、今の私達とおんなじだなーとなんだか微笑ましくなってしまいます。
『木菟図(みみずくず)』
九博で開催中の特別展「オークラコレクション」で展示されている「木菟図(みみずくず)」(小林古径筆 大倉集古館蔵)。木菟のキリッとした目と鮮やかな紅梅が印象的です。ぜひご覧ください。オークラ展の詳細はこちら https://t.co/tNW2zLx2wq pic.twitter.com/CloRuvcWQF
— 九州国立博物館 (@kyuhaku_koho) November 10, 2018
これはもう、ミミズクが可愛いの一言です。静かな風景に凛としたミミズクがかわいいです。とくにじっと何かを見つめている目が好きでした。
横山大観『山四趣の内 冬』
(写真なし)
これを可愛いというと怒られるかもしれませんが、山に広がる雪の質感がとても柔らかく、そう感じました。
竹関連のもの
竹は特徴的な姿を持っていたり、柔軟な素材なので美術や工芸で様々に描かれたり使われたりしていますが、今回の展覧会では、「四君子」の1つの植物として描かれたものでした。
四君子とは、菊・竹・蘭・梅の4つで、その凛とした姿から好まれたようです。
蘭竹図屏風
(写真なし)
とても美しい作です。
右に蘭、左に竹が描かれています。描かれた竹の伸びやかな姿が好きでした。
『四君子象嵌重硯箱(しくんしぞうがんじゅうすずりばこ)』
(写真なし)
四君子のそれぞれの姿が象嵌で描かれている華やかな硯箱です。
重箱になっていて、蘭、竹、菊、梅のそれぞれが五面に大きく描かれています。
鮮やかな色彩に魅了されました。
自在置物
金工が発達した江戸-明治時代、とっても器用な金工職人が、触ると動く置物を作りました。
2年ほど前でしたか、東京藝術大学の博物館で行われた「明治の超絶技巧展」でも見ましたが、小さな作品に細かい技工が施され、当時の職人たちの技術力の高さが伺えます。
鉄や銅、銀などで写実的に昆虫などをつくり、体や手足をほぼ本来の機能通りに動かすことができるまで追求した置物を自在置物と呼ぶそうです。自在置物の多くは海外へ流出し、国内に残っているものは少ないそう。画像は蟷螂(かまきり)(大倉集古館蔵)。九博の特別展「オークラコレクション」で展示中。 pic.twitter.com/ccgayVP5UN
— 九州国立博物館 (@kyuhaku_koho) October 10, 2018
この小さな蟹やカマキリの脚が関節から動くとは、どういうふうになっているのか、とても気になっています。
展示のおとなりには、実際に触れる自在置物のカマキリがありました。
これは人気があってなかなか人がはけず、カマキリのようにじーっと機会を伺ってやっと触ることができました。
皆さん、脚や鎌を触って楽しそうでした。
絵図が面白い
先にも書きましたが、絵図は本当に面白いです。
実はこのあとに、4階の文化交流展示室で伊能忠敬の展示を見てきました。地図も興味深かったのですが、なによりも測量の模様を描いた絵図が面白かったです。
もちろんその絵にも、「だらだらしている人」が描かれていました。
測量中、行列の中のどんな人が気ままな時間を過ごせるのか、考えてみると、自分でもそうなってしまうなと想像できて面白いです。
あんな場面まで描いて残してしまう作者の遊び心もいいですね。
国宝「古今和歌集序」は見たかった…
私が行ったのは後期展示のために、11月4日までだったものは見れていません。
そのなかでも、一番見たかったのは、国宝「古今和歌集序」です。
少し馴染みのある古今和歌集ということ、日本美術全集の写真で興味深く見ていたものでしたので、本物を前にしてじっくりと見たかった思いが尽きません。
いつかどこかで、見る機会があれば嬉しいです。
オークラコレクション観覧まとめ
本当に、こんなにもよくぞ守ってくれたというコレクションの数々、実際にこの目で見れてとても嬉しかったです。
展覧会では国宝や重文、重要美術品に目が行きがちで、それらはもちろん素晴らしいものです。
ですが、他にも多くの展示がありますので、ほんの少しの知識と、自分なりのテーマを持っていくと、様々な作品をとても面白く見ることができますのでおすすめです。
だだ、あと少し、日本の工芸の美を展示していだだけたら工芸好きとしては嬉しかったです。いつかまた、このようなコレクション展が実現出来たときには、是非お願いします。
(平成21年の特別展「工芸のいま 伝統と創造- 九州・沖縄の作家たち -」を見て工芸作家への道に飛び込んでしまいまった身としては)
最後まで読んでいただきありがとうございます。
実はオークラコレクションと伊能忠敬展を見終わったあと、私にとってのメインであるイベントが待っていました。
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