九国博『京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ』展を見に行きました

九博こと、九州国立博物館で行われている特別展『京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ』展を見に行きました。

今回は、まさに「今日は一日、木像三昧」といった様相の特別展で、慶派の仏像を堪能できる展示です。平安から江戸の時代に造られ、令和の時代へと引き継がれる祈りの対象となった仏像や人物像の歴史を見ることができます。※この記事があるブログのテーマは「竹工芸」です。

オークラコレクション醍醐寺展に続き3回連続の特別展を見ることができましたので、私が気になったことを書いていきます。

その前に…大法恩寺展に持っていくもの

  1. カメラ…六観音菩薩像を撮影可能!
  2. 単眼鏡…美しいお姿の細部はもっと美しいのです
  3. チケット…休日の開館前は並ぶのでぜひ事前購入を

※掲載している展覧会の写真は、九州国立博物館より提供して頂いたものです。

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まさにそこにいらっしゃるような木彫りの像たち

私の木像への興味は、お顔の表情にあります。

誰が作ったとか、どういう祈りが込められているとか、説明や文献を読まないと知りえないことは知識(教養)として持っていると、さまざまな楽しみができるのですが、像を目前とした時、やはり見た目は大切で、私が好きなのは、まさにそこにいるかのような表情をされた木像です。

戒律に厳しい優波離立像(うばりりゅうぞう)と鉄鉢

うばりりゅうぞう 九博

優波離立像(うばりりゅうぞう)

私が一番好きなのは、快慶作、十大弟子像のひとりで、左手に鉄鉢を持ち、托鉢(たくはつ)をされている 優波離(うばり)立像です。まさにそこにいらっしゃるような表情、話しかけたらなんか答えてくれるような感じ。快慶が造る、人のリアリティが面白いです。少し小さめに造られているというのも、どこか身近にいるということを印象づける要因になっているのではと感じました。

もうひとつ、優波離さんが手に持っている鉄鉢も良い感じです。

このブログのテーマは竹工芸なのですが、托鉢をされる際の入れ物である鉄鉢(てっぱつ・てっぱち)を象った竹かごがあります。

竹の鉄鉢(私が最初に作ったもの)

その名も「鉄鉢」です。こたつの上でミカンが盛ってあるあれです。この写真のものは、私がまだ習っている頃に初めて作ったもので、歪みがあって申し訳ないのですが、大体の感じはわかると思います。

竹の鉄鉢の考案者は、大分で活動されていた竹工芸の最初の重要無形文化財保持者(竹芸)であった生野祥雲斎(しょうの しょううんさい)で、九州国立博物館では平成21年に代表作の「華器 怒涛(かき どとう)」が展示されたこともあります。

別府温泉が最盛期だった頃、お土産品として売るために、竹工芸が盛んな別府の人たちにも作れるものとして製作され実際に大変売れたようです。現在でも若い作家の方々が作られています。

鉄鉢を持つ人の像は時々見かけますが、その中でも、優波離立像(うばりりゅうぞう)は、本当に托鉢されている様子がうかがえそうなリアルな造りが好きです。

馬頭観音立像さまは怒られている

馬頭観音立像

激しく怒った表情が特徴の馬頭観音さま。大報恩寺の馬頭観音立像は、どこか可愛い馬を頭に乗せて3面のお顔で怒りを表されています。

可愛い動物といえば、醍醐寺展では可愛い水牛がいました。威圧的な大威徳明王とは裏腹に、のんきに大威徳明王を背中に乗せて立っている水牛が面白かったことを思い出します。大報恩寺の馬頭観音立像の馬も、つぶらな目でこちらを見ていて、馬頭観音さんの表情との格差が面白いです。

表情豊かな小さな「天王と羅刹立像」はあの敵キャラのようだ

小さくて表情が面白くてずっと見ていられる「天王と羅刹立像」です。

どこかから発売されてる、異世界ものRPGに出てくる敵キャラみたいでよく見ると怖い表情だけど、こういうのに慣れた人たちにとってはどこかコミカルに感じますね。

ゴブリンと言ったら失礼かもしれませんが、まさにゴブリン。そして、オーク。かわいい。

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大報恩寺展 きゅーはくでの見どころ

六観音像全てが撮影可能なのは九博だけ!

東博では聖観音菩薩立像だけが撮影できたらしいのですが、九博の展示では、6体すべてが撮影できます。六観音像の光背の影が朱色の壁に映って、とてもきれいでした。

行快作の「釈迦如来坐像」が初めて大法恩寺の外で見れる

行快作の「釈迦如来坐像」が初めて大法恩寺以外でみることができる

大法恩寺 行快作「釈迦如来坐像」

九博での大法恩寺展の「目玉」のひとつと勝手に思っている、大法恩寺以外で初公開の、行快作「釈迦如来坐像」が展示されています。

キリっとしたお顔が凛々しいお釈迦如来、堂々としたお姿が素敵でした。

360度、全部から観覧可能

博物館等では壁を背にした展示が多くてなかなか裏側を見ることができませんが、今回の大報恩寺展では、展示された木像をグルっと回って色んな角度から見ることが出来る木像が多くあります。正面からじっと見たり、いつもは見れない背面を興味深く見たりできますね。

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大報恩寺展 開催概要

開館時間や観覧料、お休みは公式サイトでお確かめください。

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同時開催!新元号記念特別企画「令和」

大法恩寺展で慶派の仏像を存分に楽しんだら、今こそ見ておきたい「令和」の元となった万葉集の展示が行われていました。チケットには4階の文化交流展のチケットもついていますので気軽に入ることができます。

展示期間は「平成31年4月23日(火)~令和元年12月22日(日)」とのことですので、普段見ることのない万葉集を見る機会かと思います。お勧めです。

九博公式サイト 新元号記念特別企画「令和」

九博の4階(特別展会場のひとつ上の階)にある文化交流展は九博の常設展示室で、時折、特集展示の展示替えが行われていますので、特別展に行ったときには必ず合わせて見に行っています。

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まとめ

大法恩寺展 九博

今回は、慶派の仏師、快慶・定慶・行快が造った木像が展示されるということで、人気が出て混雑するだろうと思い、GW前に行ってみました。たぶん、さらに展覧会の認知が広まると絶対に混雑間違いなしの内容です。できれば2回、行きたいところです。。

京都は学校があるということも有って、時々行くのですが、実は大報恩寺は存在もしりませんでした。慶派の木像を見るなら大報恩寺。今回の展示をいつかふたたび見るために、ぜひ行ってみたいと考えています。

大報恩寺展、おすすめです。

そして、7月からは室町将軍展、10月はいよいよ三国志展が開催されます。今年も九州国立博物館も楽しみです。

ところで…

博物館や美術館、とくに大きな会場では、私語厳禁な雰囲気があったり、作品について話をしていると係の人から注意されたりしますね。仏像などの作品を見ながらいろいろと話をしたいので、作品について作品の前で話してもいいような展覧会を開催してほしいところです…。

ですが、たしかに、人が多いと一ヵ所に留まっているのは迷惑なんですよね。人が少ないときには多少は許す程度はお願いしたい…と思ったりします。

その点、竹工芸の展覧会は基本的に人が少ないので、存分に話せたりします(話に夢中になって注意されたこと多数…ごめんなさい)

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令和の大宰府

2回目の大法恩寺展は、令和になっての快晴の日でした。

GW中ということもあって、太宰府天満宮周辺は大混雑かとおもいきや、拝殿の列は意外と少なくてすぐに参拝できました。

甥が中学受験なので、合格祈願です。

でも、この子達、北野天満宮の近所だよね⁈とも思いつつ…。

太宰府天満宮と北野天満宮の”はしご祈願”をおすすめしてみようかな。

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