竹工芸・竹細工の有名な地域・産地

竹工芸・竹細工は全国で行われていて、竹を編む籠(かご)だけではなく、うちわや茶筅、釣り竿や弓などなど沢山あります。

竹細工で有名な地域というと、経産省が定める伝統的工芸品に指定されている地域が有名なほか、現代の名工や職人の方々が仕事をされ続けている場所も多くありますので、ごく一部ではありますが紹介いたします。

竹を素材とした製作は全国で行われていますの、多数の抜けがあることはご了承ください。情報お待ちしています。

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竹工芸・竹細工の伝統的工芸品の指定地域

伝統的工芸品とは、経済産業省が指定した伝統工芸の産地で作られた伝統工芸品で、主に竹を素材とした伝統的工芸品は以下のような感じになります

  • 別府竹細工 大分県別府市周辺
  • 勝山竹細工 岡山県勝山市
  • 駿河竹千筋細工 静岡県静岡市
  • 高山茶筌 奈良県高山
  • 都城大弓 宮崎県都城市
  • 京扇子 京都府京都市
  • 京うちわ 京都府京都市
  • 丸亀うちわ 香川県丸亀
  • 房州うちわ 千葉県
  • 大阪金剛簾 大阪府
  • 岐阜和傘 岐阜県
  • 江戸和竿 東京都荒川区
  • 紀州へら竿 和歌山県

竹そのものだけではなく、様々な材料と組み合わさり、工芸品が作られていることがわかります。

※上記リストの他に、以前は提灯も竹で作られることが多くありました。

別府竹細工

大分県別府市は、温泉の観光客へのお土産としての販売をきっかけとして竹細工が急速に発展した地域です。また、竹工芸での最初の人間国宝は別府地域から誕生しました。

現在、日本で唯一の竹工芸の職業訓練所があり、工芸美術、アート、クラフト、青物などなどの製作の場で活躍されている方を多く輩出しています。とくに、工芸美術・アートの分野では世界でご活躍されている作家の方もいらっしゃいます。

竹工芸の人間国宝

勝山竹細工

勝山竹細工は、岡山県の内陸部、岡山県真庭市勝山で製作されている竹細工です。

駿河竹千筋細工

駿河竹千筋細工は、静岡県静岡市周辺で行われています。

竹を細く割って作った丸い竹ひごで作られる工芸品で、平たい竹ひごでの編組で作られた作品とは違った雰囲気があります。

全国のデパートの催事で実演をされていることがありますので、是非足を運んでみられてください。

高山茶筌

奈良県の高山での茶筅が作りは室町時代中期からとされ、京都や奈良に都があった頃、宮中のお茶の席でも使われたのかもしれません。

岐阜和傘

都城大弓

京扇子

京うちわ

丸亀うちわ

房州うちわ

大阪金剛簾

江戸和竿

紀州へら竿

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竹細工の有名な産地

竹を素材として行われている伝統工芸は、全国各地で行われていて、とくに農業で使うものの製作には、多くの凄腕の職人さんがいらっしゃいます。

ここでは私が知っているごく一部の地域を紹介したいと思います。どちらの地域も、地域に適した実用的なものであったり、美しいものを作られています。

竹工芸・竹細工のジャンル

宮崎県日之影町

宮崎県日之影町は、現代の名工であった廣島一夫さんや飯干五男さんが長く竹細工を続けられた場所です。

とくに有名なのが背負籠である「かるい」で、日之影という傾斜のある地域の畑で籠を立てかけやすいように工夫された、平たい形が特徴的です。

廣島一夫さんや飯干五男さんの作品はアメリカや英国で紹介され、著名な博物館に収蔵されています。また、日之影町の竹細工資料館でも見ることが出来ます。

栃木県大田原市

大田原は江戸時代より竹工芸が盛んで、著名な作家の方を多数排出している地であり、人間国宝となられた方が御二人いらっしゃいます。

竹工芸(美術工芸系)では、栃木・東京の関東、京都・大阪堺の関西、別府に大きな流れがあります。いづれの地でも、日用品から美術への発展がなされ、現在も美しい作品が製作され続けています。

戸隠竹細工

長野県の戸隠では根曲がり竹を使った竹細工が行われています。

長い期間保管した根曲がり竹で作られたコーヒードリッパーがNHKで紹介されたことで有名です

京都

京都のお茶の席などで竹製の作品が多く使われており、竹工芸作家の方も多くいらっしゃいます。

また、京都伝統工芸大学校では竹工芸専攻があり、こちらの学校出身者が全国でご活躍されています。

長野県松本地域「みすず細工」

長野県松本地域では「すず竹」という細い竹の産地で、この竹を使った竹細工が続けられています。

松本の伝統工芸みすず細工

福井県越前市「越前竹人形」

越前市では竹の曲線や節、繊維の強靭さを生かした竹人形が作られています。

竹独特の表情を人形の表情として生かされる技術はとてもすごいです。

越前竹人形

鹿児島県宮之城町

宮崎県の宮之城町では真竹を使った籠などが作られていて、宮之城伝統工芸センターでは竹細工教室が行われています。

鹿児島県は竹製品の産地ということで職人さんも多くいらしたそうで、そのエピソードのなかには「箕というかごを作るときに、孟宗竹の竹ひごで2つ飛び網代編みをいかに早く完成させるかを職人たちが競っていた」という話を聞いたことがあります。三本飛び網代よりも目を詰めることが難しい網代で競っていたそうです(伝聞による…)。

なお、別府の角物(豆腐籠・ピクニックかご)製作でも職人たちが競っていたというエピソードがあります。

工芸というのは自然の素材と戯れているように思われる方もいらっしゃいますが、実のところ、職人や作家たちは競い合っている部分もあるのです。

北海道や東北地域の竹細工

北海道や東北の地域では、千島笹(チシマザサ)という、根曲がり竹を使った竹細工が行われています。

根曲がり竹はタケノコが美味しいということで有名なのですが。竹細工の素材としてもとても優秀な素材です。

根曲がり竹を使った製品や作品には、日用に使う工芸品、クラフト製品の他、伝統工芸展や日展では、その曲線の美しさと独特の優しい光の反射が、真竹にはない表情を見せてくれます。

久留米「籃胎漆器」

福岡県の久留米周辺では、竹で編んだ籠に漆を塗って作る、籃胎漆器作りが盛んです。

竹を、網代もしくは、目が詰まった編み方で籠や皿を作り、そこに漆などを何度も塗り重ねられて作られます。

久留米から朝倉の地域は、素材となる良い真竹が生える場所であり、別府竹細工の作家の方もこの地域の竹材店から購入される方が多くいらっしゃるほどです。

熊本県山鹿市「来民渋団扇」

熊本県山鹿市では、表面に柿渋を塗って作られる団扇を作られています。

昭和の前半は多くの工場があったそうですが、現在は一軒となったそうです。

(うちには、こちらで製作された、アマビエの団扇があります!)

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工芸の道具を作る竹工芸

竹製品はざまざまな工芸の道具としても使われています。

和紙を漉く簀桁(すけた)

越前和紙など、紙を漉くときに使う「簀桁(すけた)」の漉く部分の材料は竹であり、使う竹ひごは真っすぐで等間隔に編んである必要があります。また、紙の種類によって簀桁の竹ひごの太さを変えられています。

紙漉の「簀桁(すけた)」を専門に作る職人さんは、産地ごとにはほぼいらっしゃらないということで、越前和紙の産地では紙漉きの職人さんが丁寧に作られているという話をお聞きしました。

截金の金箔を切る竹刀(竹の刀)

截金(きりかね)は金箔を細く切り、仏像や木箱などに装飾を加える伝統工芸です。近年では京都迎賓館の幕が有名かと思われます。

金箔を切るときに静電気は大敵であり、截金の作家の方は静電気を帯びにくい竹で作った竹刀を使われています。

竹刀とは、剣道で使う竹刀(しない)ではなく、太い竹ひごの片方を刀のようにして、金箔を切れるようにしたものです。


この他、竹工芸においても、竹を編むときなどに竹で作ったものを道具として使うこともあります。それらは、個々の作家や職人たちが工夫し、創作して使うものです。

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「伝統工芸」と「伝統的工芸品」と「伝統工芸士」

伝統工芸と伝統的工芸品はどう違うのかというのは、大まかに言うと以下の通りだと思っています。

伝統工芸」とは、工芸品が作られる伝統的な技術全般です。伝統的な技術とはいっても、それは基礎的な技術のことで、現代では様々な方法を用いて工芸品が作られている場合があります。例:かつて竹を使われて現在は針金を使われている提灯など。

伝統的工芸品」とは、経済産業省が様々な条件に適合した「工芸が行われている地域で製作される工芸品」に対して指定するものです。製作されている工芸品と地域との歴史や、後継者の育成などが条件となります。

例えば、別府竹細工であれば、別府の周辺地域で作られる、別府竹細工の基礎的な技術を用いて作られる竹細工の製品ということになります。

伝統工芸士」と名のれるのは、伝統的工芸品に指定された地域で長く製作し、テストに合格された人だけが名乗れます。指定外の地域で同じ素材・技術で作っていたとしても、伝統工芸士になることは出来ません。

経産省が指定するものなので、地域の経済的発展とともに伝統的工芸品があるという感じでしょうね。

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