70回目の正倉院展に行ってきました。
毎年秋に行われるこの展覧会は、正倉院に保管されてきた天平の宝物を一般公開されていて、各宝物は一度公開されたら次は10年後ということもあり、一期一会とも言える宝物を見るために毎年多くの方が楽しみにこの展覧会を待たれています。
正倉院には竹で作られた物も伝えられており、五世早川尚古斎が調査をされたこともあります。
今回は、竹の作品は見当たりませんでしたが、私にとっての正倉院展のレポートを簡単に行いたい思います。
第70回正倉院展の(私の)注目
正倉院展では、すべてが素晴らしい展示品ということもあり、あれもこれもと集中してみてしまうと疲れてしまいます。
そこで、展覧会に行くときは、私のテーマである「竹の工芸」と「かわいい展示」を探すを目的にしています。
犀角如意(さいかくにょい)
犀角如意(さいかくのにょい)には、ある動物の角が使われているシカ。
ヒントは、角を持つ動物。
答えはサイの角です! 鹿と思った人ごめんシカ。
他にも象牙や水晶、真珠など豪華な素材が使われている貴重な宝具。ぜひ見に来てシカ!
第70回正倉院展は10月27日(土)から。https://t.co/vdMer7D51n pic.twitter.com/A96fOEiuTG— 読売新聞大阪本社 広報宣伝部 (@Yomiuri_Osaka) 2018年9月26日
犀角如意とは、動物のサイの角を使って作られた、仏具の「如意」です。
世代的に、一見したところ孫の手と思った人もたくさんいた事と思いますが、ちゃんとした仏具です。
メモ
如意についてwikiを見てみると「本来は孫の手の様に背中を掻く道具で」とあります。ほんとに孫の手だったんだ!?
犀角如意の注目点は、「天平の時代に作られた+明治時代の職人によって復元された」が左右で組み合わさっているところです。
現在、文化財の修復では失われたところは復元せずに、それ以上の破損を防ぎ、後世に伝えていくという方法が採られていますが、明治期の文化財修復では復元が行われていたようです。今回の展覧会の別の出展品でも復元が行われている宝物がいくつかありましたね。
「復元」というのは、もとに戻すということで良いように思われますが、手工芸品では完全に同一のものは作れませんので、その時の技術でできる「似せたもの」になってしまう可能性があります。
犀角如意でも、天平の素材と技術、明治の素材と技術が組み合わさっているものと考えたほうが良さそうです。
それにしても、犀角如意は素晴らしい輝きを持っていました。
さらに犀角如意については「撥鏤」の技術で作られたものを久しぶりに見れたというところも嬉しかったことのひとつです。
如意の手で持つ部分に文様が描かれていますが、その部分が撥鏤で作られた部分です。
撥鏤は、角などの素材を染色しそれに文様を彫っていくというもので、角は染料が深く染みないことを利用して作られています。
その鮮やかな彩色をもう見れる可能性が低いかと思うと、もう一度入場しておきたかったなという思いがあります。
正倉院展まとめ
この写真、今回の正倉院展の招待券です。
実は、奈良に近鉄で到着したところ、知らない女性の方々に呼び止められ、「お兄さん、招待券があるので良かったらもらってくれませんか?」と声をかけられました。
絶対怪しいぞオーラを出していた私でしたが、どう見ても普通のお優しそうな年配の女性の方々の呼びかけに甘えてしまいました。
旅行中の身、節約できるところは節約したい…今回の分は音声ガイドやお土産として奈良博で使わせていただきました。
心より、ありがとうございます。
来年の正倉院展、何が出展されるか楽しみです
それまで無事に生き、もっと勉強していきたいです。
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